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相続手続きQ&A

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相続手続きQ&A

相続手続きに関する不安や疑問は、一生に一度経験するかどうかのものだからこそ、
解決のサポートが必要です。私たちは、相続の専門家として皆様の疑問に寄り添い、
手続きをスムーズに進められるよう、必要な知識や情報を発信しています。

相続手続きに関する不安や疑問は、一生に一度経験するかどうかのものだからこそ、解決のサポートが必要です。
私たちは、相続の専門家として皆様の疑問に寄り添い、手続きをスムーズに進められるよう、必要な知識や情報を発信しています。

相続人について

1.だれが相続人になるの?
血のつながった親や兄弟です。配偶者も必ず相続人になります。
2.養子でも実子と同じく相続人になれるの?

はい、なれます。養子は法律上、子として扱いますから、相続の場合も実子と同じ扱いになります。
また、特別養子でなければ、実の親の財産も相続できます。
特別養子とは、実の親子関係を断ち、法律的に養父母の実子として扱うことをいいます。

3.内縁の妻でも相続人になれるの?

内縁の妻は法律上、配偶者にはならないので、相続人にはなれません。

4.別居して10年以上経つ。その場合も相続人になれるの?

相続権はあります。
別居していても、戸籍上は夫婦であれば、配偶者の財産を相続することができます。

5.夫の死亡後すぐに再婚。その場合も相続人になれるの?

ご主人が亡くなったときに婚姻関係にあったかどうかで判断します。
そのため、亡くなる前に離婚していたという事実がなければ、相続人となります。

6.離婚協議中に夫が死亡。その場合も相続人になれるの?

離婚が成立していない限りは、相続人となります。

7.婚姻届を出していない。その場合も相続人になれるの?

残念ながら相続人にはなりません。
ただし、相続人が1人もいないという場合には、手続きを行うことによって、特別縁故者として相続財産を受け取れる可能性があります。詳しくは専門家にご相談ください。

8.帰化して両親と国籍が異なる。その場合でも相続人になれるの?

はい、相続人になれます。

9.お腹の中にいる胎児がいる。胎児も相続人になれるの?

はい、胎児も相続人になれます。

10.場合によって、相続人になれないこともあるの?

本来、相続人であるはずの人であっても、次にあげるような、法に触れる行為をしたときは相続人になれません。

  • 被相続人、または先順位相続人・同順位相続人を故意に殺害した、または殺害しようとして刑に処された者
  • 被相続人が殺害されたことを知っていながらそれを告訴・告発しなかった者(ただし、殺害者が配偶者もしくは直系血族の場合を除く
  • 詐欺や脅迫によって、遺言の作成またはその取り消しや変更を妨げようとした
  • 詐欺や脅迫によって遺言書を書かせた者。また、取り消し、変更させようとした
  • 遺言書を偽造、改ざん、破棄、隠匿した者
11.相続人から外されることもあるの?

被相続人に対してひどい仕打ちをした場合、被相続人の意思によって相続権を奪うことができます。
ひどい仕打ちとは、以下のようなことです。

  • 被相続人に対して虐待をした
  • 被相続人に対して重大な侮辱をした
  • その他、著しい非行があった

遺産分割について

1.遺産分割協議書の作成はどのようにしたらいい?
遺産分割協議書の形式は、法律上、規定があるわけではありません。
作成期限もなく、法定相続分と異なる場合も相続人全員の合意があれば有効です。
ただし、相続税が課税される場合は、税務署に申告する関係もあるため、相続税の納付期限である10ヶ月以内に作成されることをおすすめします。
2.相続人の一人と連絡がとれない。遺産分割協議はどのようにすればいい?

連絡がどうしても取れない場合、
その方について不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申立てる必要があります。
その後、選任された不在者財産管理人を相手に、遺産分割協議をします。
また、失踪宣告を家庭裁判所に申立てることにより、法律上、その方は死亡したこととなり、死亡を前提として遺産分割を行うことになります。

3.遺言と異なる遺産分割は有効なの?

遺言が優先されるため、基本的には遺言に従わなければなりません。
ただし、相続人全員が合意すれば、合意した遺産分割協議も有効になります。
遺言どおりに遺産分割したい場合は、遺言執行者を選任するとよいでしょう。

4.遺産分割協議に参加していない相続人がいる。この場合も有効なの?

いいえ、無効です。相続人が全員参加しなければ、遺産分割協議が有効に成立することはありません。
再度、遺産分割協議を行う必要があります。

5.成立した遺産分割協議を再度、やり直すことはできるの?

はい、できます。ただし、税務上、贈与税が課税される可能性がありますので注意が必要です。

6.香典も遺産分割の対象になるの?
法律上、香典は、葬式費用に充てることを目的として葬儀主催者である喪主に贈与されるものとされています。したがって、遺産分割の対象にはなりません。

相続放棄について

1.借金も相続しなければいけないの?
借金については、必ずしも相続しなければならないわけではありません。
ただし、借金を相続しないで他のプラスの財産を相続することはできません。
2.被相続人の口座から預貯金を引き出した後でも、相続放棄できるの?

いいえ、できません。
預貯金を引き出すなどの行為は、相続財産を相続人が処分する行為に当たるため、単純承認したものとみなされます。単純承認とは、財産も借金も含め、亡くなったかたのものすべて相続することを承認することです。

3.生前に相続放棄の約束をした。その約束は有効?

いいえ、無効です。相続放棄の手続きは、亡くなった後でなければ認められません。

4.子供が相続放棄を希望している。どこで相続放棄をするの?

相続放棄という手続きは、家庭裁判所に申し出て、「はじめから相続人でなかった」ということを認めてもらう手続きです。
したがって、「子供がそう言った」と口頭で伝えるだけでは効力が生じません。

また、財産を相続しない(0円相続)」と「家庭裁判所での相続放棄
とは、全く別の意味であることにも、注意が必要です。

5.相続放棄をしたが、撤回したい

いいえ、原則、撤回できません。ただし、誰かに騙された、あるいは脅迫されたなどの事情があれば、撤回が認められないこともありません。
詳しくは専門家に相談してください。

6.事情があり、死後数ヶ月経ってからその事実を知った。今からでも相続放棄できるの?
はい、できます。
亡くなった方の相続人であることをご自身が知ってから3ヶ月以内であれば、相続放棄できます。

遺言書について

1.遺言書は自分で書くほうがいい? 第三者に頼むほうがいい?
どちらのほうがよいとは一概に言えません。
遺言書は大きく分けると「普通方式」、「特別方式」の2つに分類され、そのうち普通方式の遺言には「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3つがあります。
もっとも手軽に作成できるのは「 自筆証書遺言 」ですが、紛失隠匿の恐れがある、法的に無効になる恐れがあるなどの不安要素もあります。
その一方で、「公正証書遺言」は公証人に作ってもらうため、紛失の恐れがなく、公証力が認められますが、手続きが煩雑で費用がかかります。
2.遺言書には何を書いてもいいの?

遺言に書いて効力が生じるものは、大きく分けると、

  • 1. 相続に関すること(長男の相続分は何分のいくつ、土地は次男に相続させる…など)
  • 2. 財産処分に関すること(預金のうち、○○万円は、どこどこに寄付する、など)
  • 3. 身分に関すること(結婚していない人との間に生まれた子どもの認知、など)
    の3つがあります。
「葬式は質素にしてほしい」「臓器を提供したい」「ペットの面倒を見てほしい」「海に散骨してほしい」などの希望を盛り込んだ内容には法的な効力がなく、これらについては必ず実行されるという保証はありません。
残された遺族の判断に委ねられます。
3.遺言書は何歳から書けるの?

満15歳に達した人なら原則として誰でも書くことができます。

4.遺言書が出てきた。開封してもいい?

いいえ、いけません。絶対に開封しないでください。
遺言書の開封は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いのもとで行わなければなりません。これに違反し、勝手に開封すると、5万円以下の過料に処せられます

5.遺言書の文字が読めない。どうすればいい?

墨で真っ黒に塗りつぶされるなど、まったく読みとれない場合には無効となります。
ただし、癖字であったり、達筆すぎて文字が読めない場合には、裁判所や専門家に依頼し、文字の判読をしてもらいます。

6.遺言書の日付があいまいだ。その場合も有効なの?

いいえ、日付が特定できないものは無効となります。
○年○月○日という書き方以外でも、「満60歳の誕生日」などと特定できるものであれば有効です。

7.他人の添え手の補助を受けて遺言を書いたようだ。その場合も有効なの?

はい。他人の意思が含まれていないと判断できる場合は有効です。

8.両親が二人でひとつの遺言書を作っていた。その場合も有効なの?

いいえ、無効です。内容は同じでも、別々の書面で作成しなければなりません。

9.法定相続分に反する遺言でも有効なの?

はい、有効です。しかし、残された遺族のための最低の保証として、遺留分という制度があります。

10.遺留分とは何?

遺留分とは、相続人に最低限確保されている相続分の割合のことです。
亡くなった方が遺言で家族以外の第三者に財産を贈与したり、特定の家族だけ相続分を少なくすると、残された家族が生活に困ることもあります。
そこで、民法では、相続人に一定の相続分を保証しています。
遺留分があるのは、配偶者、子です。直系尊属(親・祖父母など)が相続人になる場合は、直系尊属にもあります。兄弟姉妹に遺留分はありません。

11.遺留分の割合はどのくらい?

配偶者と子は被相続人の財産の半分。
直系尊属(親、祖父母など)は被相続人の財産の1/3です。

たとえば、

1. 配偶者と子2人が相続人の場合の遺留分の割合

2. 配偶者と父母(直系尊属)が相続人の場合の遺留分の割合

※配偶者は3分の1
※父母は12分の1(6分の1÷2人)
※配偶者が死亡していれば、父母は各6分の1

3. 配偶者と兄弟姉妹がいる場合の遺留分割合

※配偶者は2分の1
※兄弟姉妹は遺留分なし。

12.遺留分を侵害する内容の遺言は、無効?
遺留分を侵害する内容の遺言でも、当然に無効にはなりません。
遺留分を侵害された相続人でも、遺留分を主張するかどうかはその相続人の自由ですから、主張しなければ遺言どおりに相続されることになり、遺留分を主張(遺留分侵害額請求)されると、その限度において遺言の内容が否定されることになります。
13.遺留分を侵害された。遺留分の割合を相続するにはどうしたらいい?
遺留分を侵害している人に、財産の返還の請求ができます。
これを遺留分侵害額請求といいます。詳しくは専門家に聞いてください。
14.家庭裁判所の検認とはどのような手続きをいうの?
遺言書の偽造や変造を防ぐために、家庭裁判所がその遺言の方式・内容等を調査し、遺言を確実に保存するために行われる手続きのことを「検認」といいます。

生命保険等について

1.生命保険金は相続財産になるの?

受取人によって異なります。
生命保険の受取人がはじめから指定されている場合は、受取人固有の財産となり、相続財産にはなりません。
その一方で、受取人が亡くなった方の名義であれば、相続財産として法定相続人で分配します。

いずれの場合も相続税の課税対象として申告する必要がありますが、実際には、相続財産の総額が「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」より少ない場合には、相続税はかかりません。
2.生命保険の受取人が「相続人」となっている場合、相続人で遺産分割するの?

相続人全員の同意があれば遺産分割協議も可能かと思われますが、基本的には保険会社の契約約款に従います。

保険会社に問い合わせてみてください。

3.死亡退職金をもらえる人は決まっているの?
死亡退職金は、勤務先の退職金規定にのっとって支払われます。
たとえば、国家公務員や地方公務員の場合、配偶者が存命であれば配偶者に支払われます。
勤務先にこれらの規定がなければ、遺産分割の対象となります。

農家の相続について

1.農地等を相続する場合、農業委員会に届出が必要なのでしょうか?
平成21年に農地法の一部が改正され、相続などにより農地を取得した場合には、農地面積の大小を問わず、10カ月以内に農業委員会にその旨を届出する事が義務となりました。
届出をしなかったり、虚偽の報告をすると、10万円以下の過料が課せられますのでご注意ください。
2.遺贈の場合でも農業委員会へは届出でよいのでしょうか?

遺言によって被相続人の財産を他人に与えることを「遺贈」といいます。
遺贈にも、財産を特定せずに遺産を一括して与えることを「包括遺贈」、特定の農地や財産を与えることを「特定遺贈」といいます。
農地を遺贈する場合、包括遺贈か特定遺贈かで農地法上の許可の扱いが違ってきます。

■相続等により農地の権利を取得した時の農地法第3条の許可の扱い

3.農地等の相続税・贈与税納税猶予制度について教えてください

農地等の相続税・贈与税に関する特例として、納税猶予制度があります。この制度を用いると、相続税・贈与税の納付が一定条件の下で猶予されます。 農地等の贈与・相続には多くの税金を支払わなければならない場合がありますが、この制度を上手く用いることができれば、納税額を大きく減らすことができます。
なお、この特例を受ける場合には、農業委員会発行の適格者証明書を必要とし、税の申告期限までに税務署に申告しなければなりません。

納税猶予制度の適用を受けその特例を継続するためには、その農地等で将来とも農業を継続する必要があります。「とりあえず納税する相続税が少なくなるから」と安易に考えないで、この制度の適用を受けるかどうかよく考えることが大切です

*1 特定貸付を行った場合は打ち切られません
*2 特定貸付を行った場合は打ち切られません(但し、農地中間管理事業以外は10年又は20年を経過後